台湾には、営業秘密の保護に関する単独法としての「営業秘密法」があります。台湾では、近年、産業の国際化や人材の流動化に伴い、現職や退職後の従業員が会社の営業秘密を持ち出して漏洩する事件が相次いで発生したことから、2013年に営業秘密法が改正され、刑事罰や域外加重処罰に関する規定が導入されました。今回のコラムでは、台湾の営業秘密法の概要と最近の営業秘密侵害事件についてご紹介します。
企業における営業秘密の取り扱いをめぐっては、会社・従業員間だけではなく、共同経営者間でも紛争を生じることが少なくありません。今回のコラムでは共同経営者間で対立が生じた場合の営業秘密の取り扱いについて事例を交えて説明いたします。
今回の訴訟・判決コラムでは、営業秘密における民事訴訟上の判断と刑事訴訟上の判断の差異を分析したいと思います。
転職した元従業員が、転職先の会社で元の会社の顧客情報等を使用して営業活動を行ったとして、元の会社が、転職先の会社及び元従業員を訴えた。裁判所は、元の会社が小規模な会社であることを考慮しても、本件で問題とされた情報が不正競争防止法2条6項の秘密管理性の要件を満たしておらず、また、元従業員が元の会社の秘密情報を使用したことも認められないとして、請求を棄却した。
本コラムでは、電子媒体と紙媒体等複数の媒体で同一の情報を管理する場合の媒体の管理に関し、例えば、電子媒体にはパスワードの設定等相応の管理体制を構築していたものの、紙媒体のコピーやスキャンなど実際の事業活動における情報の使用において紙媒体の管理を疎かにした結果、秘密管理性が否定されることがあることについて、裁判例も紹介しながら、ご説明します。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。本メールマガジン第18号では、平成29年に出された営業秘密に関する裁判例が網羅的に紹介されました。訴訟になった場合、文書等の客観的証拠による立証活動が重要であることは言うまでもありません。しかし、営業秘密漏洩の事例では、問題となる情報が社内文書に記載されている等、客観的証拠が一方の当事者に偏在する場合が多いと言えます。そのため、不正競争防止法7条として文書提出命令に関する規定が用意されています。本第19号では、実際の裁判例を題材に、文書提出命令がどのような場合に認められるか、証拠収集の側面から営業秘密について検討したいと存じます。
みなさま平成29年はどんな年でしたか。営業秘密の分野でも、平成29年に新しい裁判例がいくつも出ています。このコラムでは、平成29年に出された営業秘密に関する裁判例をわかりやすくご紹介することで、実際の裁判ではどのような点が問題になっているか、今後の秘密情報の管理に参考にできる点は何か、を検討したいと思います。平成30年がより良い年になるよう、平成29年の裁判例から学んでみましょう。
弁護士知財ネットのジャパンコンテンツ調査研究チームは、その名の通り、日本の有するコンテンツをいかにして保護していくべきかについて調査・研究しております。画像やキャラクターなどについては、著作権など知的財産権として保護できる場合には、当該権利に応じた対応が可能です。もっとも、著作物に該当するかどうかの判断が難しいソフトウェアについて、著作権で保護されない場合に備えて、営業秘密としてどのように対策を講じることができるのかについて整理と若干の考察を加えたいと思います。
筆者は、営業秘密の保護に関する規定が不正競争防止法に導入されて営業秘密訴訟が提起されはじめた時期に、東京地裁知的財産部の裁判長として審理に当たっていました。近時は、新日鉄対ポスコ事件等の大型の企業秘密漏洩事件が提起されるに至っており、当時の状況から様変わりしていますが、草分けの時期の裁判所での審理の状況を紹介いたします。また、技術情報を営業秘密として保有する場合には、特許法上の先使用権を保全するための方策が必要となりますが、特許侵害訴訟の審理の経験を踏まえた説明をいたします。
これまで、地方の弁護士として主として中小企業から相談・依頼を受けてきました。また、経済産業省及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、本年3月に「企業における営業秘密管理に関する実態調査」の結果を公表しました。これらを踏まえて、中小企業が抱いている営業秘密に対する誤解を整理してみたいと思います。
本コラムでは、筆者が過去に対応した九州の中小企業の営業秘密に関する事案をベースに、実際に会社に行き、仕事現場を把握してはじめて分かる(分かった)情報管理の問題点、営業秘密に関する相談対応の過程で出てくる会社の法的主張、当該主張に関する争点等について、必要な範囲で裁判例を踏まえつつ、お話ししたいと思います。
営業秘密官民フォーラムメールマガジン掲載コラム 第14回 秘密情報とその他の情報、明確に区別して管理されていますか? 弁護士知財ネット九州沖縄地域会 弁護士 網谷拓(福岡県) PDF版ダウンロード:[…
営業秘密を守る方策として不正競争防止法上の「営業秘密」として保護するほかに、契約によって営業秘密を守る方策が考えられると思います。契約によって営業秘密を守る方策のうち競業避止条項によって営業秘密を守ることについて検討してみたいと思います。
「社長!営業秘密については、せめて段ボール箱に"マル秘"の記載をしてください!!」本コラムでは、営業秘密(秘密情報)の管理についての地方の中小企業の社長の悩みと不満を、筆者の法律家としての悩みと共にお伝えします。
営業秘密の漏洩事案の大半は、退職従業員等によるものです。そこで、従業員や役員の退職時に、企業はどのような方策をとりうるかについて検討するとともに、その際の注意点について検討します。
不正競争防止法上の「営業秘密」に関する相談において、自社が有する全情報=秘密情報である、と考えられている相談者の方が少なからずいらっしゃいます。しかし、「営業秘密」として法的保護を図るためには、多種多様な情報のうち、秘密とすべき具体的情報は何かを把握することが重要です。この重要性について、本コラムでは、裁判例等を題材として検討致します。
不正競争防止法上の営業秘密として保護の対象となる情報は、「秘密管理性」、「有用性」及び「非公知性」の要件を満たす必要があるが、過去の裁判例において、「有用性」の要件を満たさないとしたものは少ない。そのためか、秘密管理性の要件と比較して着目されることの少ない要件であるが、思わぬところで足元をすくわれないためにも、どのようなケースで「有用性」がない情報であると判断されたのかを知っておくことが肝要であると思われる。そこで、本コラムでは、情報に「有用性」がないと認定された裁判例をいくつか紹介する。
弁護士業務において、秘密保持契約書の作成やレビューを依頼されることは非常に多い。弁護士は秘密ができるだけ保持されるような条項の作成を考えるわけであるが、実は、秘密情報を守るためには、秘密保持契約が締結されるまでの協議や締結後の現場の対応が非常に重要である。そこで、秘密保持契約締結において当事者間で協議するべき事柄やそれを実現するための条項案、現場教育などの実務について、秘密情報を守るための方策を検討する。
寒中お見舞い申し上げます。本年もどうぞよろしくお願い致します。さて、営業秘密に関するものに限らず、裁判例の一部については裁判所のサイトで公開されており、誰でも閲覧することができます(こちらのサイトからご覧ください:http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/search1)。 平成27年改正不正競争防止法が平成28年1月1日に全面施行され一年が経過した平成28年末時点において、当該サイト上で「営業秘密」というキーワードで検索するとヒットする裁判例は30件ありました。このうち、今後の訴訟活動等において参考になりそうな裁判例をその勝敗に限らずピックアップして振り返り、ポイント等を解説します。
世界を驚かせた大統領選挙が終了し、トランプ次期大統領の一挙手一投足がこれまでにも増して注目されている米国ですが、知財絡みでは日本にも大きな影響を与えかねないTPPからの脱退等の宣言も注目を集めています。今回は、日本企業にとって今なお最重要な市場の一つといえる米国の営業秘密法制についての最新状況を明らかにしたいと思います。