ドイツ連邦共和国の新しい営業秘密保護法”Geschaftsgeheimnisgesetz“は、厳しい議論の末、本年4月26日に施行となった。これは、権利者優位の特許侵害訴訟をはじめとするドイツの特許制度及びその実務を以てしても、一旦漏出した技術情報は、侵害訴訟による事後的な対応では到底不十分であるという現実、とりわけ地政学的な大きな変動を受けた、知財政策に関する苦渋の軌道修正という面がある。
不正競争防止法上の「営業秘密」として保護される要件として「秘密管理性」が上げられますが、近年では、営業秘密のほとんどがデジタルな情報として「電磁的に」管理されています。そこで、本稿では、営業秘密における「秘密管理性」を満たす管理とは、情報セキュリティにおけるどのような対策と関連するのかを検討します
不正競争防止法上の「営業秘密」に関し、同法の不正競争行為の成否を判断するためには、その前提として、不正「取得」「使用」「開示」が疑われる情報が「営業秘密」と同一であるかを検討する必要があります。また、同法の改正により導入された「限定提供データ」についても同様です。そこで、本稿では、裁判例において、情報の同一性がどのように判断されているかを検討します。
不正競争防止法上の「営業秘密」に関し、同法の不正競争行為の成否を判断するためには、その前提として、不正「取得」「使用」「開示」が疑われる情報が「営業秘密」と同一であるかを検討する必要があります。また、同法の改正により導入された「限定提供データ」についても同様です。そこで、本稿では、裁判例において、情報の同一性がどのように判断されているかを検討します。
営業秘密の管理には難しい問題が山積していますが、まずはスタートすることが大切です。今回のコラムは、その第一歩を踏み出そうとする方に向けたイントロダクションです。
営業秘密官民フォーラムメールマガジン掲載コラム 第38回 AI・IoTの開発における学習用データセットの生成ノウハウの保護について 弁護士知財ネット 弁護士 後藤 大 PDF版ダウンロード:[営業秘密…
今回は、学習用データセットに着目して、実務上悩ましいと思われる点について、話題を提供したいと思います。
営業秘密を不正に使用して生産した物(営業秘密侵害品)の輸出入の差止めが可能になってから3年が経ちました。営業秘密の重要性の高まり、グローバル化の進展、雇用の流動化等に伴い、営業秘密侵害品の輸入差止めを検討する機会も増えていくことが予想されます。もっとも、営業秘密侵害品の輸入差止手続は、他の知的財産権侵害物品の輸入差止手続と異なる点がありますので検討に際し注意が必要です。
東北においても、東北経済産業局や各県の自治体、その他官民の多数の団体により、営業秘密の重要性を啓発、周知する活動が行われてきた。このことは、東日本大震災により甚大な被害を受けた中小企業に対し、営業秘密とは必ずしも直結しない問題について支援をする契機となった面が多分にあると感じている。そうした面について報告する。
営業秘密をめぐる訴訟において、原告が主張する情報の営業秘密性が認められた場合は、被告の行為が不正競争防止法所定の各要件に該当するか否かが問題となりますが、そもそも営業秘密性が認められる事案が少ないこともあり、この点について検討される裁判例はあまり多くないように思われます。今回は、裁判例を通じて営業秘密の「使用」の意義とその立証について考えてみたいと思います。
営業秘密を第三者が不正に取得し、使用あるいは開示する行為は、不正競争行為とされており、被侵害者は、当該第三者に対して、受けた損害の賠償を請求できます。もっとも、「営業秘密」とされる「情報」には様々なものがあり、またその「使用」のされ方も一様ではないため、その使用によって発生する損害額の算定は容易ではありません。今回は、営業秘密侵害により被侵害者が受ける損害の内容とその算定について考えてみたいと思います。
秘密保持契約書(企業間)の条項が、本当に秘密情報を守れる契約書になっているのか、経済産業省が公開する秘密保持契約書の参考例を題材に検討を行ってみました。
情報の秘密管理手段であるパスワード。しかし、パスワードを設定していても秘密管理性が否定される場合もあります。パスワードの運用について、考察してみます。
民事訴訟において、当事者が提出した書類は、訴訟の当事者間で共有されることはもちろん、原則として、訴訟外の第三者もアクセスが可能となる。企業としては、営業秘密が記載された証拠書類等を訴訟で提出する場合、営業秘密の漏洩を防止するための訴訟制度を理解し、活用することが必要である。その一つが訴訟記録の閲覧等制限の制度である。
営業秘密の保護を検討するうえで不可欠な視点として、元従業員の転職の自由の保護という視点を欠くことはできない。これまで、営業秘密を保護する不正競争防止法の条項の適用が問題となった大多数の事案は、過去に当該企業において雇用契約を締結し勤務をしていた従業員の退職後の行為が問題となっているからである。そこで、本稿では、退職後の転職の自由の社会的意義を検討し、これを踏まえて、営業秘密の保護のあり方を考えてみたい。
最近、農水の分野においても知財を活用しようという動きが顕著であり、その中で、営業秘密の問題も取り上げられるようになっています。今回は、農業分野での営業秘密の問題の一つとして、交配種(F1品種)の保護について考えてみたいと思います。
「第四次産業革命」の呼び名と共に、人工知能(AI)を活用し幅広いデータを収集・解析する事業が次々に生まれています。その中で、これまではシステム活用と縁のなかった事業者においても、農業とデータの活用(アグリテック)などの場面で、自らの管理するデータを提供して新たなサービスを享受する動きが広がっています。本コラムでは、このような場面におけるデータの取扱を巡る問題について、不正競争防止法の平成30年の改正やガイドラインも踏まえ、説明いたします。
1990年日本の不正競争防止法の改正により営業秘密保護に関する規定が新設され、翌年韓国でも類似の法改正が行われました。それ以降、韓国と日本は遅れ先立ちで営業秘密保護の法令とシステムを発展させてきましたが、全体的には非常に似ているものの、刑事手続きの活用や転職差止請求などの細かいところでは結構な違いが露呈されています。今年4月、韓国知財弁護士協会(KIPLA)と日本の弁護士知財ネット(IPLNET)の共催で、京都において第2回日韓知財司法シンポジウムが開催され(なお、シンポジウムの内容については、9月20日(木)発刊のLaw & Technology(民事法研究会)において特集されています。)、そこでも、両国の制度の異同をめぐって議論が活発になされましたが、本稿では民事手続と刑事手続の両側面において両国の営業秘密保護の仕組みを簡略に比較してみます。
企業者間において、ブランド使用許諾契約書を締結することがあります。それに関連して、契約外の第三者との関係で、両当事者間において、別個に秘密保持契約書を締結することがあります。両者の関係は案外厄介だと困惑したことがあります。そのお話をして、よい解決法を探りたいと思っています。
弁護士知財ネットから提供している本コラムも創刊から3年目を迎えました。本コラムでは、皆様の営業秘密管理の参考にしていただくべく、我が国の裁判例等、様々な観点からのコラムを提供してまいりました(読み逃してしまったコラムがありましたら、下記URLからバックナンバーをご覧ください。)。弁護士知財ネットは、これからも皆様の営業秘密の保護に役立つ情報をお届けできればと考えております。さて、3年目の最初となる今回のコラムは、営業秘密管理の基本に立ち返ってみたいと思います。