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営業秘密メルマガコラム

  • 平成27年改正不正競争防止法により、謙抑的な効果を期待して、一定の営業秘密漏洩行為について刑事罰が強化されたことはご承知のことと思います。刑事手続は非常に厳格な手続であり、一般論として立証の程度が民事よりも高く要求されます。他方、刑事手続において、被告人が自白した場合、営業秘密の該当性は争点になりません。営業秘密について、いわゆる有用性、秘密管理性、非公知性が言われますが、民事手続と刑事手続とにおいて、近年の判例上、どのように取り扱われているか、比較検討してみたいと思います。

  • 知財戦略においては、技術情報や営業情報を問わず自社の中にある情報を営業秘密として管理することの重要性が増しています。営業秘密も最終的には裁判によって権利行使できなければ絵に描いた餅となってしまいますが、特許などと異なり、営業秘密は登録すれば権利行使できるものではなく、適切に管理されていなければ権利行使することができません。これまで様々な裁判例がある中で、管理に問題があったために権利行使が認められなかった事例、いわゆる失敗事例から営業秘密管理に関する教訓を学んでいけたらと思います。

  • 平成27年改正不正競争防止法では、営業秘密の不正利用に関する立証責任の一部が被告に転換され、平成28年1月1日から施行されています。改正法のもとでの被告の防御方法と、被告にならないための予防対策について解説します。

  • Q 営業秘密訴訟において、原告は、どの程度、営業秘密の内容を裁判所に明らかにしなければなりませんか。先回と同じ裁判例を題材に、さらに深く検討します。 A 先回紹介した口金ノズル事件は、平成5(1993)年から平成10(1998)年まで、何が営業秘密なのかの問題(営業秘密の特定の問題)を粘り強く展開しましたが、何故これが許されたのか、もう少し掘り下げて再検討します。また、従業員が在職中に自ら開発したノウハウ等は会社の営業秘密になるのか、というトンチ問題のような論点についても再検討します。

  • Q 営業秘密訴訟において、原告は、どの程度、営業秘密の内容を裁判所に明らかにしなければなりませんか。 A 1990年に営業秘密保護を明文化した不正競争防止法が改正された後、あまり時間をおかず、訴訟提起され原告の請求が一部認容された事件があります。これを紹介し裁判の公開原則(憲法82条)との関係で、営業秘密訴訟を提起する原告側の留意点について検討します。また、その後の改正の積み重ねによって今日では営業秘密を守りながらも訴訟をすることが格段にし易くなったことや、従業員開発型営業秘密が不正競争防止法2条1項7号に該当するかの議論についても説明します。